フィリピン留学の歴史

およそ20年前からスタートしたフィリピン留学、比較的新しい留学先であり、急激な人気成長を見せています。

日本で知られるようになったのは2010年ほどからですが、それから毎年日本人留学生の数は増え続け、2015年には年間でおよそ35000人がフィリピンで英語を学ぶようになりました。

果たしてなにがきっかけでフィリピン留学が始まり、人気となっていったのでしょうか?

今回はその事実に迫ります。

きっかけは1997年「アジア通貨危機」

きっかけを紐解いてみると、それは意外にも1997年にタイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨下落現象でした。

アジア各国はこれにより大きなダメージを受けたのですが、中でも大打撃を受けてしまったのは韓国です。

人口が4800万人と日本の半分以下で、中国の20分の1にも満たない国内市場の規模の小ささにも関わらず、欧米ファンドの投資を過大に受けていたことが理由です。

それを受けて多くの韓国企業は市場を海外に展開していく方針に決めました。

韓国有名企業のサムスンやLGなどが現在世界のマーケットで活躍しているのは、この方針転換があったからこそなのでしょう。

アジア通貨危機によって方針転換をした韓国企業たちは、ビジネスを世界で展開するために英語は必須なので、新入社員の採用基準をそれに応じたものに転換しました。

大手企業ならばTOEIC700点以上でなければ採用試験さえ受けられませんし、サムスンなどのメガ企業であればTOEIC900点以上でなければ採用されないのです。

これにより学生の英語を学ぶ必要性が一気に高まり、海外留学の需要がグッと高まりました。

しかし、アジア通貨危機によって韓国は非常に不景気な状態であり、高額な留学費用を必要とするアメリカやカナダといった欧米諸国へ留学できる人は多くありません。

そこで、韓国はフィリピンに着目したのです。

2000年初期、韓国がフィリピン留学をはじめる

フィリピンは欧米と比べて距離が非常に近く、物価も安い、そしてアジアで数少ない英語を公用語とする国であるというメリットに着目し、韓国がフィリピン留学をスタートさせました。

欧米留学では講師一人に対して複数人の学生で構成されるスクールスタイルが主流ですが、フィリピンでは人件費の安さを活かし、講師と1対1のマンツーマン授業が可能です。

これは英語が堪能ではない学生が基礎を学び、英語力を着実にアップさせることに非常に理想的な環境だったのです。

こうしてフィリピン留学が産声をあげました。

今日のフィリピン留学でもまだ名残はありますが、この頃は「韓国式スパルタ」と表現されるように、朝から晩まで徹底的に英語を学ぶ合宿のようなカリキュラムがほとんどでした。

「スパルタ」と一見アグレッシブな印象を受けるこの言葉からは、激しい就活競争を勝ち抜かなくてはならないという韓国社会の背景が伺えますね。

しっかりと英語を伸ばすことができるフィリピン留学、韓国で大人気になった後に日本にも情報がちらほら入ってくるようになります。

2010年頃、日本での注目が高まる

日本でフィリピン留学が始まったのは2010年頃と言われています。

人気に伴い、セブ中心に学校がどんどん開校されて行きます。

韓国資本の学校だけではなく、日本資本の学校も続々と始まりました。

これまでは韓国人学生がメインでしたが、日本人学生の入校が増えるに伴って、施設整備や日本食導入といった食事面の改善などが進みます。

更にフィリピンの経済成長と共にセブの街並みもめまぐるしく発展を続け、アヤラモールのような大型ショッピングモールが続々と展開されて行きました。

日本でフィリピン留学の評判はみるみる広まり、フィリピン政府観光省の調査によると2010年には年間4000人だった日本人留学者数も毎年増え続け、2015年には年間35000人に達しました。

カナダやオーストラリアにワーキングホリデーに行く前にフィリピンで英語力を高めるという「二ヶ国留学」も大人気になっています。

2017年現在、フィリピン留学の学生多国籍化が進んでいる

この記事の最後に現在のフィリピン留学、そしてこれからの動きについてお話しましょう。

2017年現在では、学校や時期によって違いはあるものの、日本、韓国が学生比率の多くを占めています。

しかしながら、ここ数年でベトナム、中国、台湾、ロシア、ドイツ、スペイン、その他ヨーロッパ諸国からの学生が増えて来ました。

驚くことに、アフリカからの学生も稀に来るそうです!

また「門限がある」「韓国の食事」といった従来のフィリピン留学のスタイルから、様々な国籍の学生にとって適応しやすい新しいスタイルへの変化も見られます。

今後のフィリピン留学は、英語を着実に身につけられるマンツーマン授業を安価に受けられることに加えて、学生の多国籍化が一層進み、日本と同じアジアのフィリピンにいながら様々な国の人と出会える更に魅力的な環境となっていくでしょう。

留学中に出会った友達はSNSなどを通じ、その後も繋がっていくでしょうし、プライベートのみならずビジネスでも協力していく可能性のある貴重な財産となります。

日本からの留学生も増え続け、多国籍化が進み、学校のシステムも進化し続けているフィリピン留学、これからの発展がとても楽しみですね!